「怒りをコントロール出来るようになりたいんだけど、どうしたら良いのか分からない」
本記事ではこのような疑問にお答えします。
こんにちは。
臨床心理士のひなたです。

名前:ひなた (臨床心理士・公認心理師)
大学院修士課程を修了後、精神科クリニックに勤務し、心理カウンセリングや心理検査などを行っている。
得意な心理療法は認知行動療法。
ストレスチェック実施者、両立支援コーディネーター、健康経営アドバイザーなどの産業保健資格も所持しており、労働者のメンタルヘルス対策事業にも参画。
結論、怒りをコントロールできる自分になる5つのステップは以下の流れです。
怒りをコントロールするスキルを身に付けるトレーニングはアンガーマネジメントと呼ばれ、認知行動療法に含まれるテクニックの一種です。
怒りをコントロールができないと人間関係が壊れたり、周囲からの評価が下がったりと人生に悪影響を及ぼしてしまいます。
しかしアンガーマネジメントに取り組むことで、このような悪影響を減らすことができます。
認知行動療法アプリAwarefyでは、アンガーマネジメントを学びながらスマホを使って日常的に実践できるので、「自力でアンガーマネジメントに取り組むのは難しそう」という方には非常におすすめです。
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本記事では以下の内容について解説します。
怒りを感じる原因
怒りをコントロールできる自分になる5つのステップ
怒りを感じたときの対処法7つ
怒りの原因になる思考への対処法
怒りをコントロールするのが苦手な人が気をつけるべきこと
困ったときは専門家に頼るのも大事
怒りを感じる原因
同じ状況を体験しても、怒りを感じる人と感じない人がいます。
この違いはいったい何でしょうか。
まず、べき思考の強さが挙げられます。
べき思考とは、「~であるべき」という考え方の癖です。
例えば、待ち合わせ時間に相手が遅れてきたとき、「約束時間はきっちり守るべきでしょ!」という考えが強い人は怒りに繋がりますし、逆に「約束の時間でも多少は遅れちゃってもいいよね」と考える人はあまり怒りを感じないかも知れません。
このように、自分の怒りの背景にある「べき思考」に対処することができるようになれば、怒りにも対処出来るようになります。
まずは自分の怒りはどんなべき思考によってもたらされるものなのか、気づけるようになることが大事です。
また、怒りの原因として他者への期待も挙げられます。
例えば、バスの中で小さな子どもが騒がしくしているとき、「うるさいな」と思いつつも、「まぁ子どもだから仕方ないか」と考えると特に怒りは感じないかも知れません。
しかし、20歳くらいの若者が騒がしくしているとどうでしょうか。
「静かにしてよ」と怒りが湧いてくる方も多いと思います。
これはつまり、「バスの中では静かにするべき」というべき思考があるうえで、子どもに対しては「まだそんなことはできないだろう」と静かにする能力に期待していないのですが、若者に対しては「バスの中では静かにするべきって知っているでしょ」「大人なんだから静かにすることもできるでしょ」と静かにする能力を持っていると期待していることになります。
この期待が裏切られたために怒りに繋がるのです。
あなたが怒るとき、その相手にはどのようなことを期待していたのか理解することも大事です。
怒りをコントロールできる自分になる5つのステップ

① 怒りによる代償(デメリット)を知る
この記事を読まれている方の中には、怒りをコントロール出来ずに困っている方がいると推測しますが、怒りで困っている方は、具体的に「怒る」ことによってどのような代償を払っているのでしょうか。
今一度紙やスマホのメモに書き出して明確にし、それぞれの深刻度合いを100点満点で表わしてみましょう。
例として以下のような書き方考えられます。
例:家族との関係悪化(90)、部下からの信頼を失う(70)
② 怒りによる見返り(メリット)を知る
もしもあなたが頻繁に怒りを感じてしまうのなら、その怒りによって見返りが発生している可能性があります。
そこで今一度、あなたが怒ることによってあなたにどのようなメリットがあるのか考えてみましょう。これも紙に書き出して整理してみることをおすすめします。
例としては以下のようなことが考えられます。
- 怒ると欲しいものが手に入る
- 怒ることで他人に自分の言うことを聞かせようとする
- 怒ることで人に何も言わせない
- 怒ることで、不安や悲しみといった他の気持ちがなくなる
- 恥や罪悪感、自己評価の低さを怒りで隠している
- 怒りで地位を得ることができる
- 怒ることでまわりはもっと自分に注意を向ける
- 怒ることで他人に自分の言うことを聞かせようとする
- 怒ることで人に何も言わせない
- 怒ることで、不安や悲しみといった他の気持ちがなくなる
- 恥や罪悪感、自己評価の低さを怒りで隠している
- 怒りで地位を得ることができる
- 怒ることでまわりはもっと自分に注意を向ける
何か思い当たるものはありましたか?
見返りも代償と同様に、その程度を数字で表わしてみましょう。
例:怒ることで他者をコントロールできる(60)
③ 怒りによる代償と見返りを比較する
ここまで、あなたが怒ることによってどのような代償を支払うことになっているのか、そしてどのような見返りを得る事が出来ているのかを明らかにしてきました。
これら踏まえてよく考えていただきたいのですが、怒ることよってあなたが払っている代償は、怒ることによって得ている見返りと釣り合っていますか?
あなたが怒ることによって得ている見返りは、本当にその代償を払う価値があるものですか?
代償と見返りを比較した結果、もしも代償が上回っているのならあなたの怒りはあまり理にかなっていないことになります。
怒ることで見返りが発生していると、その見返りが得られなくなっても怒ることが習慣化されてしまうかもしれません。
だからこそ、怒りをコントロールする方法を身に付ける必要があるのです。
自分の怒りがなぜ発生しているのか、知ることがアンガーマネジメントの第一歩です。
④ 記録をつけて自分の怒りを知る
自分はどんな出来事で、どんなことを考え、どの程度の怒りが湧き、どんな行動をしたのか記録をつけましょう。
また、怒りの原因となっている出来事の深刻度合いはどの程度なのかも記録しておきましょう。
記録をすることで、自分がどんな時にどんなことを考えて怒って、どんな行動をすることが多いのか、パターンを可視化することができます。
自分のパターン分かると、それに応じた対策も考えやすくなりますし、自分のことを俯瞰して見る能力が高まります。
怒りに飲み込まれてしまうとコントロールすることは難しくなりますが、自分のことを一歩引いて見ることが出来るようになると、コントロールすることが出来るようになります。
また、出来事の深刻度合いに対して怒りの度合いが高いと、それは必要以上にエネルギーを使って怒ってしまっていることが目に見えて分かるようになります。
自分の怒りが出来事の深刻度合いと釣り合っていないことを理解することも大切です。
以下に記録の仕方を例として示すので参考にしてみてください。
出来事:子どもが水道の水を出しっぱなしにして手を洗っている (深刻度:35)
思考:「もったいないだろう!」「水は節約しないといけないでしょ!」
怒りの度合い:65
行動:子どもに怒鳴る
⑤ 記録を元にPDCAサイクルを回す
PDCAサイクルとは、計画する(P)、実行する(D)、振り返る(C)、また行動する(A)というサイクルを回すことです。
つまり、自分の怒りのパターンを把握したうえで、思考や行動を怒りに対処出来る良い方向に変えていくのです。
例えば、「自分って『~じゃなきゃいけないだろ』って考えが怒りに繋がっている傾向があるな」と気付けたら、「~じゃなきゃならない」という思考を切り替えるよう意識してみるのも良いですし、「自分は怒ったとき物にあたりがちだな」というように行動の癖が見えてきたら、穏やかに怒りを静められる他の行動を試して、効果を確かめていくことが大事だということです。
このPDCAサイクルを回していくうちにあなたは怒りをコントロール出来るスキルが身についているはずです。
怒りを感じたときにおすすめの対処法や、思考の切り替え方はこれから解説します。
怒りを感じたときの対処法7つ

怒りを数字で表す
怒りを数字で表すと、漠然とした自分の怒りを詳しく捉えることができます。
そしてそれは自分を俯瞰して見ることに繋がります。
怒りに飲み込まれてしまうと上手く対処することが難しくなると思いますが、例えば「自分は今40くらい怒っているな」と俯瞰して自分を見ることが出来れば、怒りに飲み込まれずコントロールすることができます。
数字を逆から数える
数字を逆から数えることで気を紛らわすことが出来ます。
さらに言うと、3ずつ「100、97、94…」というように3ずつ引いていく方法もおすすめです。
難易度が上がると、それだけ怒りよりも数えることに意識が向くため、効果を高めることが出来ます。
落ち着く言葉を唱える
「大丈夫」、「まぁいいか」など、怒りが湧いたときに唱える言葉をあらかじめ決めておきましょう。
ペットの名前や、座右の銘、自分の好きな有名人の言葉など、自分が落ち着けると思うのならどのような言葉でもかまいません。
決めておいた言葉を、怒りが湧いたときに唱えてみてください。
頭の中を真っ白にする
怒りが湧いてきたとき、怒りと同時に「なんでそんなことをするんだ」「おかしいでしょ、あり得ない」「~するべきでしょ」というように、何かしらの思考も頭の中にあるはずです。
こういった思考が怒りに繋がってしまうので、怒りが湧いたときは「ストップ!」と心の中で唱えて、その時の思考を停止させましょう。
一度頭を真っ白にすることで、冷静な対応ができることがあります。
一度その場を離れる
その場を離れることを、タイムアウトといいます。
怒りの元凶となった出来事や人が近くにあると、怒りを持続させたり、増長させてしまったりするかもしれません。
そこで一旦その場を離れて、心を落ち着けてまた戻ってきましょう。
タイムアウトする場合は、以下の4つのRを意識しましょう。
気づく(Recognize)
タイムアウトを実行するためには、まず怒りの兆候に気づく必要があります。
代表的な例としては、声を荒げたり、鼓動が早くなったり、攻撃的なことを考えたり、拳を握ったりするといったことが挙げられます。
これらのような怒りの兆候に気づいた際は、「我を失う前にここから離れよう」と自分に語りかけてください。
離れる(Retreat)
今すぐその場を離れて自分が落ち着ける場所に行き、気持ちを落ち着けたり、考え直したりしましょう。
自分の怒りを増長させてしまうような場所には行かないように注意しましょう。
リラックスする(Relax)
怒りを放出させてあげましょう。
スポーツや読書でも良いですし、怒りに繋がることになった出来事を少しでも忘れられるような活動をしてみてください。
アルコールや薬物の利用は逆効果になるのでやめましょう。
復帰する(Return)
怒りを落ち着けることが出来たら、怒りのきっかけとなった出来事を解決するためにその場に戻りましょう。
「今、ここ」に集中する
怒りを感じている人の中には「あのとき○○だった!」と過去の事を考えていたり、「今度また○○になるかもしれない!」というように未来のことを考えていたりと、怒りに飲み込まれて今に集中出来ていない人もいます。
そこで、今目の前にある物に意識を向けることで、意識を過去でも未来でもなく、現在に留める必要があります。
自身が「今、ここ」で体験していることに気付いている状態を、マインドフルネスといいます。
マインドフルネスは非常に難しく練習が必要ではありますが、その方法の一例をご紹介します。
椅子に座っている場合は、背筋を伸ばし、両足を床につけて膝が直角になるようにしましょう。
立っている場合は、背筋を伸ばして肩の力を抜くイメージです。(腹式呼吸と同様)
足が地面に接していることに意識をむけましょう。
お腹が膨らんだりへこんだりしていることに気付き、意識を向けましょう。
目に映る情報に気付き、心の中で言葉にしましょう。
例:「この机は深い茶色だ」「水色のカーテンが揺れている」
聞こえる音に耳を澄ませ、気付いたことを心の中で言葉にしましょう。
例:「空調の音が聞こえる」「窓の外から車が通る音が聞こえる」
匂いに気付き、心の中で言葉にしましょう。
例:「誰かの香水の匂いがする」「湿気の匂いがする」
例:「心臓がドキドキしている」「少し息が苦しい」
腹式呼吸をする
怒りは交感神経が働いている状態なのですが、腹式呼吸は交感神経の働きを抑えて副交感神経を優位にすることができます。
腹式呼吸のやり方は以下の流れです。
椅子に座っている場合は、背筋を伸ばし、両足を床につけて膝が直角になるようにしましょう。
立っている場合は、背筋を伸ばして肩の力を抜くイメージです。
お腹の動きを感じやすくするため、片手をみぞおちの下あたりに軽く置きましょう。
このとき、お腹が膨らむのを意識してください。
お腹に置いた手が少し持ち上がる感覚に注意を向けましょう。
約7秒止める方法もあります。
自分にとってやりやすいリズムで取り組んでみてください。
このとき、お腹をへこませるように意識し、すべての息を吐ききる感覚です。
これを5~10分繰り返します。
慣れないうちは3分からでも構いません。
怒りの原因になる思考への対処法

『怒りを感じる原因』で解説した通り、怒りの背景には原因となる思考が存在するため、思考の幅を広げる練習をすることが大切です。
これは認知行動療法の一種である認知再構成法と呼ばれる方法で、精神科の医療現場でもよく用いられる方法です。
自分が信じている思考に色んな視点から疑問を投げかけることで、その思考に振り回されづらくなります。
今回は、部下が失敗したときに、「仕事では常に結果を出すべきだ」と考えて怒りを感じている人を例に挙げて手順を解説します。
→「80%くらいは信じているな」
→「会社から給料を貰っている立場だから、成果を出すのは当然」
→「人間なら失敗することもある」
→「怒るのも分かるけど、そのことをずっと考えていたら自分が苦しくなるよ」
→「友だちの○○なら、部下にそこまで期待するなよって言うかも知れない」「尊敬する××さんなら、部下の失敗をカバーするのが上司の責任だって言いそう」
→「こんな風に考えているから自分自身成果を挙げられることもあったはず。だけど失敗した部下に対して同じことを考えると、イライラしてしまって、管理者としての評価を下げる原因になりかねない。今は40対60でデメリットが上回っているかもしれない。」
→「部下が同じ失敗をしないように、感情的にならないよう気をつけて部下と話し合おう。」
→「仕事では常に結果を出すのがベストだけど、それを他人にも考えると自分のストレスになってしまい、自分にとってデメリットが大きくなってしまう。失敗は誰にでもあると割り切って、部下としっかり話し合おう」
→「50%くらいかな」
最初は難しいですが、コツコツ練習することで身に付けることができます。
ちなみに僕冒頭で紹介した認知行動療法アプリAwarefyでは、AIによるサポートを受けながら認知再構成法やマインドフルネスを行うことができるのでおすすめです。
\ 思考に振り回されない方法を学べる /
怒りをコントロールするのが苦手な人が気をつけるべきこと

それは、自分を責めないことです。
怒りをコントロールしたいと思ってはいるものの、思ったようにコントロール出来ず「またやってしまった」「自分はダメだなぁ」と落ち込んでしまう方もよくいらっしゃいます。
しかし、少なくとも本記事をここまで読んでいる方はそのように考えないでいただきたいと思います。
というのも、アンガーマネジメントというのは、実際に取り組む人が家族や同僚に『あなたは病院に行った方がいい』と言われて、「なんで自分が病院なんかに…」という流れで始まることも多いです。
しかしこの記事を読まれている方の中には、怒りをコントロールできるようになりたいと考え、自分で調べるという行動を起こし、記事の終盤までしっかり読むことが出来ています。
このように行動を起こせることは当たり前のことではありません。
ここまで行動を起こせている自分を褒めてあげて、「自分は変わろうと頑張っている!」と前向きにアンガーマネジメントに取り組んでいただきたいと思います。
困ったときは専門家に頼るのも大事

アンガーマネジメントを一生懸命頑張ってみても、うまくいかないことはあると思います。
そんなときは、臨床心理士や公認心理師などプロの心理カウンセラーによるカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。
「怒りすぎるのは良くないと頭では分かっているのに怒ってしまう」という苦しさは、周囲から理解されづらい現状があります。
しかしプロのカウンセラーならその苦しみを理解しつつ、二人三脚となって怒りをコントロール出来るように支援してくれるはずです。
最近は自宅からでも気軽にカウンセリングを受けられる、オンラインカウンセリングサービスも充実しています。
以下の記事におすすめのオンラインカウンセリングサービスをまとめましたので、是非ご覧下さい。
怒りの原因や対処法 まとめ

本記事では怒りの原因と対処法について解説しました。
以下が本記事のまとめです。
- 怒りの原因には「思考」の存在がある
- 自分の怒りのパターンを記録して理解し、様々な対処法試すことが大切
- アンガーマネジメントの実践にはアプリの活用もおすすめ
- 怒りを感じる自分を責める必要はない
以下の記事では、アンガーマネジメントにおすすめの本を5冊厳選してまとめましたので興味のある方は是非。
当サイトでは、仕事のストレスを中心に、メンタルケアの方法については発信していますので、他の記事もチェックしてくださると嬉しいです。
それでは、今日も頑張りすぎず頑張っていきましょう。




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