上司がうざいと感じるあなたへ。臨床心理士が教える原因と対処法

「上司がうざくて仕事に行きたくない」
「うざい上司がいるときの対処法を知りたい」

このような悩みを抱えてはいませんか?

こんにちは。
臨床心理士のひなたです。

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名前:ひなた (臨床心理士・公認心理師)

大学院修士課程を修了後、精神科クリニックに勤務し、心理カウンセリングや心理検査などを行っている。

得意な心理療法は認知行動療法。

ストレスチェック実施者、両立支援コーディネーター、健康経営アドバイザーなどの産業保健資格も所持しており、労働者のメンタルヘルス対策事業にも参画。

本記事では、上司にイライラしてしまう理由や心理的背景を掘り下げたうえで、ストレスを軽減する実践的な対処法をお伝えします。

本記事で紹介する対処法は、筆者が精神科でカウンセリングを行うときにも使っている理論に基づいています。

本記事を読むことで、上司の態度に振り回されず、仕事中の気持ちが軽くなるヒントがきっと見つかるはずです。
ぜひ、ご一読ください。

本記事のまとめ
  • 「上司がうざい」と感じるのは、人間の防衛反応として普通のこと
  • うざい上司に対してストレスを感じているとき、自身の思考を広げる、腹式呼吸、DESC法などの対処法を使いこなすことが大切
  • 「上司がうざいから辞めたい」は甘えでないが、感情的な退職の判断は望ましくない
  • 上司や職場への愚痴や不満は1人で抱えず、吐き出すことが大切
目次

「上司がうざい」と感じるのはなぜ?

上司がうざいと感じる原因一覧

上司に対するストレスの原因

「上司がうざい」と感じる原因として、上司は自分に危機をもたらす存在だということが挙げられます。

上司という存在は、自分よりも上位にある立場であり、職場での評価や人間関係、将来のキャリアに大きな影響を与える相手です。
そのため、マズローの欲求階層説(人間に備わっている5つの基本的な欲求)における「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」など、複数の欲求に深く関わっています。

安全の欲求:安全に過ごしたい欲求
例:「上司の機嫌を損ねて給料を下げられたくない」「怒られて怖い思いをしたくない」
社会的欲求:他者に受け入れられることへの欲求
例:「上司に嫌われて部署内でハブられたくない」「上司と友好的な関係を築きたい」
承認欲求:自分の価値が認められることへの欲求
例:「上司から有能な部下だと思われたい」「上司に怒られる姿を他の人に見られたくない」
自己実現欲求:自分自身が満足できる自分になることへの欲求
例:「営業成績トップになりたい」「会社や社会に貢献できる存在になりたい」

これらの欲求が上司によって満たされないとき、「うざい」と感じることがあります。

また、「うざい」と感じているときの感情としては、怒りや悲しみなどが多いでしょう。

人間の感情にはすべて意味があります。
たとえば、「怒り」は自分にとって大切なもの(努力・プライド・尊厳など)が脅かされたときに発生する感情であり、一種の防衛反応です。
同様に「悲しみ」は、大切なものを失ったときに生じるアラームとしての役割を持ちます。

つまり、上司の言動によって怒りや不快感を覚えるのは、あなたの心が「これは自分にとって脅威だ」と判断してアラームを鳴らしている証拠です。
「上司がうざい」と感じること自体は、決して弱さではなく、人間としてごく自然な反応なのです。

なぜイライラが止まらないのか?脳と感情の関係

怒りやイライラの感情は、単なる気分の問題ではなく、脳やホルモンとも深く関係しています。

人はストレスを感じると、脳内で「扁桃体(へんとうたい)」と呼ばれる部分が反応し、危険や不快を察知します。
すると自律神経が刺激され、ストレスホルモンであるコルチゾールやアドレナリンが分泌され、身体が緊張状態に切り替わるのです。

この反応は闘争ー逃走反応と呼ばれ、文字通り危機に対して逃げたり戦ったりするための準備をしている状態です。

この状態では、心拍数が上がったり、呼吸が浅くなったりと、体が緊張しやすくなり、結果的に怒りの感情が爆発しやすくなります。
特に上司の言動や行動に繰り返しストレスを感じると、脳はその状況を「脅威」として学習し、過敏に反応するようになります。
イライラが止まらないのは、脳があなたを守るために戦っているサインでもあるのです。

うざい上司のあるある7パターン

よくある「うざい上司」の典型例をご紹介します。
あなたの体験に共感できれば幸いです。

1. 無意味に細かい指示ばかりしてくる

資料のフォントサイズや報告書の言い回しなど、成果に関係ない細部ばかり指摘されると、作業効率が下がるだけでなく、「信頼されていないのでは?」と感じてストレスがたまる典型パターンです。

2. 他人の手柄を自分のものにする

自分が頑張って進めた業務について、報告の場では上司がさも自分の功績のように話す上司です。
感謝や労いの言葉もなく、承認欲求が満たされないことで怒りや虚しさを感じやすくなります。

3. 気分によって態度が変わる

昨日までは優しかったのに、今日は無視や強い口調になる上司はいませんか?
上司の感情によって対応がコロコロ変わると、部下は常に顔色をうかがうようになり、精神的に疲弊していきます。

4. 常に上から目線で指導してくる

「そんなこともわからないの?」「俺の若い頃は…」といった高圧的な口調での指導が日常的な上司です。
上司とのコミュニケーションが成長の機会ではなく、自尊心を削られる場になり、自信を失っていく原因になります。

5. プライベートに踏み込みすぎる

「休みの日は何してるの?」「結婚はまだ?」など、業務と関係ないことを詮索してくる上司です。
悪気がなくても、距離感を誤った発言は監視されているような感覚につながりやすいです。

6. 人によって態度を変える

お気に入りの部下には優しく、自分には冷たい。
そういった差別的な態度は、不公平感や劣等感を生み、人間関係への不信につながります。
また、職場の雰囲気が悪化する原因にもなります。

7. 仕事を丸投げしてくる

「よろしく」の一言で、何の説明もなく膨大な業務を任せるタイプの上司です。
責任は取らないのにプレッシャーだけはかけてくるため、不安と怒りが混ざったストレスを感じやすくなります。

うざい上司に振り回されない付き合い方や対処法

うざい上司からのストレスをスルーするスキル

上司に対して「うざい」と感じたときに使えるメンタルケアのスキルをご紹介します。
これらの方法は、精神科医療でも使われている方法ですので、試せそうなものから試してみてください。

自分の思考の幅を広げる

上司に対して怒りや悲しみなどの感情があるとき、その背景には自分の思考があるはずです。

思考とは、「なんだあのうざい上司は」「そんなことあんたに言われたくない」など、頭の中で自分が言っているセリフのことで、感情は、「怒り」「悲しみ」「不安」「嫌悪」など一言で表せる気持ちのことです。

まずは自分の頭にどんな思考があるか整理してみましょう。
整理するコツは、「うざい」と感じたときのことを書き出してみることです。

紙やスマホに、以下のように書き出してみてください。

記入例

状況:上司から理不尽に怒られた

感情:怒り、悲しい

思考:「こんなことで怒られるのはおかしい」「むしろ私の頑張りを評価して欲しかった」

このように書き出すだけでも気持ちが整理できます。

書き出すことができたら、この時の思考をもっと他の視点から考えるようにしてみましょう。

例えば、
「あの上司は部下を管理する能力がない人だから期待しても無駄。気にしないでおこう」
「あの上司には怒られたけど、私の頑張りを評価してくれる上司や同僚がいるから大丈夫」
「イライラしていたら疲れるから、あの上司との関係を誰かに相談しよう」

など、この状況で他にどんなことを考えられるかひねり出してみましょう。

この方法は認知行動療法と呼ばれる心理療法でもよく使われる技法です。
他の思考を見つけるコツは以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にして取り組んでみてください。

ちなみに、認知行動療法はAwarefyというアプリを使えばスマホでも手軽に行えるので、気持ちや考え方を上手に切り替えるコツを身に付けたい方にはおすすめです。

腹式呼吸

「上司がうざい」と感じるのはなぜ?』で解説したとおり、上司に対してストレスを感じている場面では、体が戦闘モードになっている状態になっていることが多いです。

この戦闘モードを落ち着ける方法として、腹式呼吸があります。
腹式呼吸は以下の手順で実践することができます。

腹式呼吸の手順
STEP
姿勢を楽にする

椅子に座っている場合は、背筋を伸ばし、両足を床につけて膝が直角になるようにしましょう。
立っている場合は、背筋を伸ばして肩の力を抜くイメージです。

STEP
片手をお腹に置く

お腹の動きを感じやすくするため、片手をみぞおちの下あたりに軽く置きましょう。

STEP
鼻からゆっくり息を吸う(約4秒)

このとき、お腹が膨らむのを意識してください。
お腹に置いた手が少し持ち上がる感覚に注意を向けましょう。

STEP
吸った空気を止める(約1~2秒)

約7秒止める方法もあります。
自分にとってやりやすいリズムで取り組んでみてください。

STEP
口からゆっくり息を吐く(約6~8秒)

このとき、お腹をへこませるように意識し、すべての息を吐ききる感覚です。

STEP
繰り返す

これを5~10分繰り返します。
慣れないうちは3分からでも構いません。

うざい上司とのコミュニケーション方法

上司の発言に対してイライラすると、「この人を黙らせたい」と感じることもあるかもしれません。
しかし、こちら側が攻撃的な姿勢を見せると対立がエスカレートし、かえってストレスが増えてしまう可能性があります。

そのため、上司から不快なことを言われたときこそ一度冷静になって深呼吸をし、丁寧に自分の意思を伝えましょう。

その時のコミュニケーション方法として、DESC法と呼ばれる方法が役立ちます。
DESC法は以下のようなコミュニケーション方法です。

ここでは、忙しいときに上司から無意味に細かい指示ばかりされたときの対応を例に挙げて解説します。

DESC法の手順

D(Describe):描写する
まずはそのときの状況や客観的な事実を共有しましょう。

例:「今、◯◯の納期が迫っていて、優先的に対応しなければならない業務に取りかかっているところです。

E(Express):表現する
自分がその状況で感じていることや考えていることについて伝えましょう。

ポイントとして、「私」を主語にして伝えるIメッセージと呼ばれる手法を使うことをおすすめします。
Iメッセージを用いることで、相手を責めるような言い回しになってトラブルになることを防ぐことができます。

また、相手への共感や敬意を示す言葉を付け加えることも大切です。

例:「丁寧にご指摘いただいたことには感謝していますが、細かいレイアウトの修正指示については正直少し戸惑っています。現時点では、全体の完成度を上げることを優先したいと感じています。

S(Specify):してほしいことを特定する
相手への希望を具体的に特定して伝えましょう。

例:「今はまず全体を仕上げることに集中し、細かい部分については提出後にまとめて対応する、という流れにしてもよいでしょうか?

C(Choose)代案を提示して選択肢を与える
選択肢を提示することで、解決策を一緒に考えている意思を示すことができますし、相手が自分の意見を受け入れやすくなります。

例:「このように段階を分けることで、納期も守りつつご指摘の点もきちんと反映できますし、必要であれば修正作業の時間を◯日の午後に確保することも可能です。

DESC法を身に付ければ、うざい上司の機嫌もあまり損ねず、自分の意見も伝えられる可能性があります。
ぜひ試してみてください。

上司と心の距離をとる

上司がうざく感じるのは、必要以上に心理的な圏内に入りすぎているからかもしれません。
感情を真に受けず、適度に「心理的な距離」をとることで、自分の心を守ることができます。

たとえば、「この人の言うことは絶対だ」という思考が強すぎると視野が狭まり、上司との距離をとりづらくなってしまいます。

そのため、上司の全てを真面目に受け止めるのではなく、「この人はこういう人だ」と割り切ったり、良くも悪くも期待しないことが、イライラなどの感情に巻き込まれないための対処法として役立つことがあります。

「上司がうざいから辞めたい」は甘えじゃない

「上司がうざい」と感じるのはなぜ?』でお伝えしましたが、上司がうざいと感じてイライラなどのストレスが発生しているときは、「逃げたい」と考えるのは人間として普通の反応です。

そのため、「やめたい」と考えるのも無理はないでしょう。
実際、我慢を重ねるうちに、身体症状やうつ状態に発展することも少なくありません。
しかし、感情的に退職を決断すると、後から自分が後悔することになる可能性もあるので、自身のキャリアについては冷静に判断しましょう。

もし、「毎朝、上司の顔を思い浮かべるだけで憂うつ」「仕事に行くのが怖い」と感じたり、不眠や体調不良などのストレス反応が出ている場合には、精神科を受診するのも選択肢の一つです。

退職を検討するにしても、信頼できる同僚や人事、産業医などに相談することをおすすめします。

感情に任せて即辞めるのではなく、自分の心と生活を守るために、「撤退戦略」を持っておきましょう。

つらい時は1人で抱える必要はない

真面目で責任感が強い人ほど、「迷惑をかけてはいけない」「自分の力でどうにかしなきゃ」と考えて、苦しい状況でも我慢しがちです。

しかし、1人で抱え込んでしまうと、どんどん苦しくなり、メンタル不調になってしまうこともあります。

そのため、もし上司への愚痴や仕事への不安などは、家族や友人、信頼できる同僚などに相談することをおすすめします。
職場に産業保健スタッフがいる場合は、遠慮せず活用してください。

どうしても身近に話せる人がいない場合は、専門の相談機関を利用する選択肢もあるということを、頭の片隅においていただけると嬉しいです。

まとめ

本記事では、「上司がうざい」と感じる原因や対処法について解説してきました。
要点は以下の通りです。

本記事のまとめ
  • 「上司がうざい」と感じるのは、人間の防衛反応として普通のこと
  • うざい上司に対してストレスを感じているとき、自身の思考を広げる、腹式呼吸、DESC法などの対処法を使いこなすことが大切
  • 「上司がうざいから辞めたい」は甘えでないが、感情的な退職の判断は望ましくない
  • 上司や職場への愚痴や不満は1人で抱えず、吐き出すことが大切

当サイトでは、「仕事のストレスに打ち勝つメンタルケア戦略」をテーマに情報を発信しています。
他の記事もチェックしていただけると嬉しいです。

では、今日も頑張りすぎず頑張っていきましょう。

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